風都探偵第7話「tに気をつけろ 7/依頼の決着」内容と感想

仮面ライダーW

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第6話「tに気をつけろ 6/仮面の守護神」

内容

タイプライターを打ち込む翔太朗。

(俺は…あの日の事をけっして忘れない…

 ドーパントを倒し、事件の全貌を依頼人に告げた、あの日…)

数日前──

忠太が鳴海探偵事務所にやってくる。

「忠太さん。ご依頼の件、すべて解決したよ。」

「はい、所長さんから聞きました…」

「まあ、こちらへどーぞ。」

「結論から言うと、ときめはドーパントではなかった。

 殺人鬼は別にいて逮捕されたよ。」

「とはいえ、彼女も窃盗犯には違いない。

 自分の気持ちを伝えたいという、君の願いは叶いそうにない。」

「…じゃあ彼女も警察に…そうですか…残念です。

 で、あの…気になってたんですが、それって…」

翔太朗の隣にたてかけられた鞄を指さす坪崎忠太。

「…ボクのカバンじゃ…?」

「おーっと、そうだった。ときめから取り返したんだっけ。

 中身確認してもらえるかな?金は使ってしまったと言ってたよな。」

「ええ。でも中身よりも…この思い出のカバンだけでも戻ってくれれば…」

鞄を手に取り、手探りで中身を確認する忠太。しかし、その顔色はみるみる悪くなっていく。

「どうした、忠太さん。何か金以外になくなってる物があるのか?」

「い、いえ、そういうわけでは…」

「例えば、そうだな…

 カバンの底が二重になっていて、その中に隠した物がない…とか?」

「!……な、なんの話です、翔太朗さ…」

「今回の事件にはもう一人、大きな罪を抱えた犯罪者が隠れている。

 坪崎忠太さん。それがあんただ…!」

「バ、バカな、このボクが何を…」

メモリを取り出す翔太朗。

トードストール!

メモリの起動に反応して、忠太の左手首にメモリの差込用スロットが現れる。

「う、ああああああっ!!」

「こいつは先に抜いといた。あんたのメモリに間違いないようだな。」

「その人も…ドーパント?」

ときめが奥の部屋から現れる。

「なっ…!!…な、なんで彼女がここに!?」

「誰も彼女を『もう警察に差し出した』とは言っていない。

 事件の全貌を見極めるために少し時間をもらったのさ。」

「あれはガイアメモリを身体に刺すためのスロットだ。

 起動スイッチを押すと、その該当メモリの使用者に浮かび上がる

 彼がこのメモリを使ったことがあるという、動かぬ証拠なんだよ。」

忠太のスロットをみつめるときめ。

「忠太さん。あんたの事は調べさせてもらった。

 実家の農家はたしかに儲かってはいないが、傾いているというほどでもなかった。

 そして風都も初めてじゃない。2年前、知人たちと一度旅行に来ている。

 つまり…」

「…事件を順番に整理してみようか。」

翔太朗にかわり、フィリップが解説を始める。

「その時、坪崎忠太はこのガイアメモリに出会った。

 そして密売人から一度だけその威力を試させてもらったんだろう。

 彼はその魔力に魅入られた。メモリを買わせるためによくある手口だ。

 実家に戻ってもその体験が忘れられず、出稼ぎを口実に金を貯め、

 風都へと移り住むことにした。

 彼は大金を用意し、ガイアメモリを購入した。

 一般市民が家族に隠し底のついたカバンを贈るとは考えづらい。

 カバンは売人からもらった物だろう。

 それをときめに奪われた…

 だがモノがモノだけに警察に届けることもできない。

 そこへ鳴海探偵事務所への依頼に行き着いた。

 その時、警察に言えない理由として考えたのが『魔女に恋した男』という図式だ。

 これが偶然うまくいった。

 その直前に翔太朗がときめ本人を見ていたからだ。

 あの女ならそういう魅力もあるだろうという説得力がたまたま翔太朗の中にも生まれていた。」

「おい……相棒!」

「今のはぼくの想像が過ぎた。

 しかし、T字路、正確には丁字路というらしいが…その魔女の正体はドーパントではなかった。

 別の殺人鬼・ロードが作った闇の裏世界を利用していただけだったんだ。」

2つのガイアメモリを見せるフィリップ。

「これがときめの持っていたメモリだ。

 破損していて概要はわからないが、彼女が何かメモリ犯罪に関係していた可能性は高い。

 このメモリの影響かもしれないが、彼女にはロードの空間変異を感知する力が生まれていた。

 ときめはその力を使って二つの街を行き来し、追い剥ぎをしながら生きていた。

 過去の記憶を持たない彼女は、そうして自分自身を探していたのかもしれないね。

 結果、ロードの男の勤める立川ビル付近に空間の歪みが多く発生し、

 彼女の姿が目撃される事となる。

 T字路の魔女の伝説はこうして偶発的に生まれたのさ。」

「う、嘘だっ!その子が宙に浮いてるのを見たし、カバンがふわっ引き寄せられた…!」

「異空間の街と現実の世界には、空間の座標軸に数メートルのズレが発生するんだ。

 それはロードとの戦いの中でぼくも確認した。彼女はその特性を利用していたのだろう。」

「なるほど。浮いたりしたのはこっちより高い向こうの世界のどこかに立ってたから。

 そのまま後ろに下がれば壁に消えるって理屈か。」

「まぁ、カバンが宙に舞ったのは彼女自身の追い剥ぎの技術だと思うが…」

突然、翔太朗の帽子が浮かび上がる。

「これの事?」

「ふむ。透明の糸と針か。」

「ほわー、結構神技あ…」

「感心はしないが、高度なテクニックだ。

 以上がぼくたちの推理だ。どうだろう坪崎忠太。何か異論はあるかい?」

震える忠太。

「翔太朗。君はいつ彼が怪しいと気付いたのかな?」

「立川が言ったのさ。」

【俺の部下を殺した魔女も、ウロチョロしてた三流探偵も、そのカバンも…

 み~んな綺麗に始末しといてやる。】

「なんでこいつが『カバン』を気にするのか、って思ってな。

 そもそもときめがあの噴水を『風呂』と呼んだ時、

 聞いていたのは俺と忠太さんしかいなかった。

 その時なんとなく筋書が読めた。

 俺たちと組んでたらラチがあかない。

 下手すれば自分のメモリの事を感づかれるおそれもある…

 だからあんたは偶然出会った立川とその後、裏で接触し、手を結んだんだ。

 事情を知った女と探偵を始末してくれ。

 カバンさえ取り戻してくれれば、自分は今後はあんたらの役に立ってやる。

 あのカバンさえあれば、自分は超人なんだ、と!」

「そ、そうさ…メモリさえあれば、ボクはなんでもできる!

 誰もボクを『冴えない奴』とか『薬にも毒にもならない奴』とバカにできなくなる!

 メモリさえ帰ってくればっ、ボクは、ボクは…!」

忠太の肩をおさえる翔太朗。忠太は翔太朗を睨みつける。

忠太を見る翔太朗の目は、悲しい目をしていた。

「忠太さん…俺は俺なりに必死だった。あんたの恋を叶えてやりたかったし、

 風都を嫌な街だと思って欲しくなかった…それなのに…

 あんたが本当に恋い焦がれていたのは、この街の一番酷い部分だった。

 それが俺には耐えられない!

 切なすぎるよ…」

「…」

(……探偵……)

「…せめて罪を償って出直してくれ…」

「…いっ、いやだああああ!!」

翔太朗の言葉もむなしく、メモリを奪い取り、ドーパントへと変身しようとする忠太。

「ぐああああっ!」

何者かが忠太の腕を捻り、メモリを叩き落とした。

「な、なんだ、お前はっ!?」

「…俺に質問をするな…!!」

そこに現れたのは警察達だった。

「亜樹子の旦那だよ。この街で最もガイアメモリ犯罪を憎む警察官さ。

 風都署超常犯罪捜査課の警視・照井竜。」

「テルイ…?」

「あー、お父さんから継いだ事務所が通り名なんで、旧姓名乗ってるんでぇ…

 私、戸籍上は照井亜樹子でーす!」

「坪崎忠太だな。ガイアメモリ不法所持容疑で話を聞きたい。署まで来てもらおうか。

 刃野刑事、真倉刑事、」

「はいっ。」

「りゅ、竜くん…スルー…?」

「トードストール…毒キノコか。

 魔女よりもよほど恐ろしい姿になりそうなメモリだね。」

「助かったぜ、照井。」

「左、フィリップ、彼女は、もういいな?」

「あ…ああ、そうだな…」

「ときめの破損メモリはぼくが解析する。」

「任せる。さあ、行こうか。」

ときめを連れていく照井。

ときめは照井に何かを伝えて、翔太朗のもとへと走ってくる。

「私も罪を数えた方がいい?」

「もちろんさ。追い剥ぎは立派な犯罪だ。」

「そうだよね。でも…なぜかあの黒い街を離れちゃいけない気が、ずっとしてて…」

「そうか…でもよ、やったのは追い剥ぎだけじゃなかったはずだろ?」

「?」

「女学生が魔女に襲われそうになったという話、あれだって…

 ロードが迫ってる事を知って、女の子たちを逃がしたんだ。

 おまえにそういう一面があるって事も、俺は忘れてないぜ…」

「…やっぱ甘いね、半熟の卵は…」

「んだとぉ…」

振り向いたときめは、翔太朗に口にキスをする。

「うっわー!ガチで口にしたよお、ガチで!」

「翔太朗、ちゃんと意識はあるかい?」

「…お…おおっ…!おおおおお……!!!」

「好きよ、半熟の卵。

 私はいつも飢えている。あなたが私を満たして。

 一人じゃ…きっと、罪を数えられないから…」

そういってときめはいってしまった。

(そう。俺はあの日の事をけっして忘れない…唇に残ったかすかなハナミズキの香りも…

 事実、この事件が俺とあいつの運命の嵐の始まりだったんだ…)

風都探偵01巻 第7話「tに気をつけろ/以来の決着」より

次回

第8話「tに気をつけろ+α/住み着いた魔女」

感想

依頼人の忠太が、まさかのガイアメモリ所持者でした…そして、TV版を見た人であれば待望の照井竜の登場です!かっこよく描かれていますね~。おなじみの台詞も!そしてときめのkiss。翔太朗との恋は発展するのでしょうか?

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